14 サクラとシエラの林間探険

 バナナのような南国特有の木々の間を二人の美少女が歩いていた。サクラとシエラだ。
 二人は軽装でおしゃべりをしながらのんびりと獣道を歩いている。

 不意にシエラがしゃがんで、
 「あ! これヨモギだわ」
 「本当だ。シエラちゃん、よく見つけたね」
と騒ぎながら、足下の野草を丁寧に採り、手持ちの袋に回収する。
 そばで一緒にヨモギを採っているサクラが、にひひと笑い、
 「ねえ、シエラちゃん。今晩さ、これをつかって二人でマスターの寝床に突撃しない?」
 「え?」
 「ほら。裸になって胸と股間にこれを貼り付けて……」
 「い、いや。サクラちゃん。それって変態じゃ……」
 「男の人ってそういうの好きだと思うな~」
 「そうかな? ジュンさんってそういうところは常識人だと思うけど」
 「後はタイミングよね。ノルンさんとヘレンさんが寝ているうちに」
 「って、お願い! 話を聞いてー!」
 笑いながら二人が立ち上がり、再びのんびりと林の間を歩き出す。
 木々はバナナのような木から、幾つもの根っこが露わになったマングローブへと変わっていく。
 二人の頭上には、張り出した枝と緑の葉っぱが生い茂り、太陽光を透過して美しい緑の屋根を作り出している。
 マングローブの林に入ってから、足下は泥のようなグズグズした地面に変わっていて、苦労しながら歩みを進めている。
 やがて小さな渓流へと出た。
 シエラが、
 「何かいそうね?」
といいつつ、渓流のそばに座り込んだ。
 水が泥を流し、石と石の間をすり抜けるように流れている。
 サクラも並んでしゃがみ込み、そっと手を川の中に入れると、
 「つめた!」
と小さく声を上げた。
 「あっ。エビだ」
 シエラはさっと水に手を突っ込み、持ち上げるとその握り混んだ手の中に手の長い一匹のエビがビクビクと動いていた。
 「やったぁ! 川エビ、ゲット!」
とうれしそうに山菜とは別の袋に入れる。
 「よお~し。私も負けないぞ」とサクラが言いながら、さっと川に手を入れた。
 二人は顔を見合わせて、
 「「勝負!」」
と同時にいって、あちこちで素手で川エビと捕まえだした。

 しばらくして、石場に移動して二人で並んで休憩する。
 シエラが、
 「二人合わせて三〇匹か」
と袋をのぞいて言うと、サクラが、
 「もう充分よね。あとは野草がもう少しあるといいかな」
と頭上の木の葉を見上げながらつぶやいた。
 くいっとサクラがシエラの顔をのぞき込んだ。
 「え、ええっと。なに?」
と問い返すシエラに、
 「ねえ。シエラちゃん。マスターとの一晩はどうだった?」
 途端に赤くなるシエラは、
 「どうだったというか……。ほっとするというか、体の芯が熱くなるっていうか」
としどろもどろになる。サクラは目をキランっとさせて、
 「発情したね?」
と追求すると、シエラは指をモジモジさせながら、
 「は、発情? ……うん。したかも」
 「うりうり~。正直でよろしい」
 サクラはシエラのほっぺたを指で突っつきながら、
 「じゃあ、やっぱりデウマキナのあの朝は予約って言っていたけれど、私たちと一緒にマスターと結婚する?」
と尋ねると、すぐにシエラは、
 「みんながよければ」
と笑っていった。
 サクラはフフフと笑い。
 「じゃあ、これでマスターの四人目の嫁は決定ね。……後は私と一緒に寵愛ちょうあいを待つだけ。ヘレンさんには先を越されちゃったけど、負けないよ?」
 シエラは慌てて、
 「さ、サクラちゃん。私は順番とかは別に。……サクラちゃんの次でいいから、お先にどうぞ」
と両手を振り、不意に目の前の草むらを指さして、
 「あっ。あの赤い実は食べられないかな?」
と言って、近寄っていった。
 「話を変えたな? まてぇ!」
とサクラが追いかける。二人は笑いながら、赤い実をつけた木のそばに走って行った。

 「う~ん。見た目はちょっと変わった赤いピーマンって感じね」
とシエラが一つ手にとる。
 「食べられるかな?」
ときくサクラに、シエラは苦笑しながら、
 「ここらへんの植生しょくせいってわからないから。……でも唐辛子みたいだね。大丈夫じゃないかな。試しに食べてみる?」
 「うん。どれどれ……」
 サクラは赤い果実を一つ取って口に入れる。
 もぐもぐもぐもぐ。
 「……どう? サクラちゃん?」
 「う」
 「う?」
 「かはぁっ。か、かか、かかか……からーーーーい!」
 サクラの顔が真っ赤になって、上を向いてゲホゲホと咳き込む。
 「ひぃぃぃ。み、水。水!」
 「サ、サクラちゃん。ほら水よ」
 シエラはサクラに水筒の水を渡す。サクラはひったくるように水筒を受け取ると、ごくごくごくごくと飲む。
 「ふ、ふひぃ。……助かったぁ。これヤバイよ。すっごく辛い」
 「う、うん。そうみたいね」
 「マスターがどんな顔するか楽しみだなぁ」
 「いや。それってご主人に対してどうなのかなぁ」
 「ふにゃん。だって楽しみじゃん!」
 そんなこんなで、二人は仲良く林道を歩いていった。

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