06 魔力測定

 その頃、教室では--。

 「うおおーっ。すっげーっ!」

 一人の男子生徒が興奮していた。マックスというその人族の男子生徒は、席から立ち上がって叫んだ。

 「うっさいんだよ!このバカ!」

 そのマックスに向かって、あざけるような声が浴びせかけられる。声をかけたのは同じ人族の女子学生のエーコだ。長い髪をして、睨むような目が、そのきつそうな性格を表している。

 「マックスほどじゃないが、それにしても、今度の先生は良さそうだな。」

 期待に目を輝かせているのは、このクラスの男子のリーダーであるデニス。そして、その隣にいる女子学生が同意の声を上げる。

 「さすがランクAの冒険者ってとこね。」

 ともに人族の学生で、女子学生は同じく女子のリーダーであるアメリだ。

 どの学生も近くの席の友達と、あれこれ騒いでいる。

 マックスが教室の前に進み出て、みんなの方に振り向いた。

 「それにしてもいい女だ。大人の女って感じだな。……で、このクラスをまとめんのに、どれくらい強いんだろうな?はっはー」

 それを聞いて、アメリとその周りの女子生徒がニヤリとする。

 「そうね。マックスのいうとおりね。」

 そうアメリは言い放つと、周りの女子生徒とともに先に教室から出て行った。

 「そうだ。みんな、そろそろ移動しましょう。時間だわ。」

 アメリの一言で、それぞれが教室から出て、校庭に向かっていくのだった。

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 「お、来たな~。」

 ジュンがのんびりをつぶやく。その視線の先には、学生たちがそれぞれの装備を着て、校庭に出てくるところだった。

 「ふうん。魔法剣士が8名。のこりが魔法使いってところですね。」

 学生たちの装備を見て、サクラが分析する。

 「どの子も普通にお店で買える装備で、特別高そうなものは無さそうですね。」

 シエラも一人一人の装備を冷静に見ているようだ。

 だいたい全員が揃ったころに、ノルンが4人ずつ整列させた。と、そこに単眼スコープを2本持ってチャンドラさんがやってきた。

 どうやらこのスコープで除くと、それぞれの魔力量が数値で見えるらしい。おもしろいね。

 「チャンドラさん。ありがとうございます。……じゃあ2人ずつ測定するから、サクラとシエラで測ってくれる?」

 「「了解」です」

 サクラとシエラはチャンドラさんからスコープを預かると、おもしろそうにあちこち覗いている。

 準備が整ったところで、ノルンが手を大きく叩いて注意を引く。

 「さあ!これから魔力の測定をするわ。が、測定だけでなく魔力の操作も調べるからね。

 まず2人ずつ出てきてもらう。最初の笛で、好きな方法で魔力を練ってちょうだい。次の笛でいったん休止。

 で、3つめの笛がなったら、放出系の魔法の人はできるだけ小さく魔力球を作り、自分の掌の上に浮かべてちょうだい。循環系の魔法の人は、右手の人差し指の先に魔力を集中し、それを左手の人差し指まで細く伸ばしなさい。」

 そこで、一人の女の子が恐る恐る手を挙げる。

 「はい。あなた。どうしたの?」

 「はい。ええっとウルスです。私の専攻は魔導機械の開発なので、どちらも苦手なんですが……。」

 「そう。珍しいわね。じゃあ、あなたは後で別に測定するわ。」

 チャンドラさんも魔力の測定を見学するようだ。

 俺は学生たちの名簿を片手に笛を手にする。

 サクラとシエラの方を見ると、二人も左右に分かれてスコープを片手に準備が整ったようだ。ヘレンはチャンドラさんと並んで見学するようだ。

 どうやらみんなの準備が整ったので、ノルンと目を合わせてから、最初の二人を読み上げた。

 「アメリ!イオ!」

 名前を呼ばれた二人が前に出てくる。このクラスは全員が金髪であるが、アメリは長い髪を後ろで縛り、剣を腰に帯びている。おそらく魔法剣士だろう。イオはローブを着込んで杖を持っているので、魔法使いタイプだ。

 前に出てきた二人が、距離を取って並んだのを確認し、俺は一つ目の笛を吹いた。

 ピーっ!

 笛が鳴った途端、アメリが瞬時に魔力を全身で高めた。対して、イオはゆっくりと魔力を高める。

 「アメリ。5万8000です!」

 「イオ。7万2000です!」

 サクラとシエラが確認した数値を、俺は次の笛を吹きながら、手元の名簿に記録した。

 アイリは左右の手を前に差し出し、イオは右の掌を上にして体の前に伸ばした。

 二人の準備ができたのを確認して、俺は3つめの笛を鳴らした。

 ピーっ!

 ふむ。どうやらアイリはなめらかに魔力を移動させている。スピードは学生にしてはなかなかだな。イオの右手の上の魔力球は……、ピンポン大といったところか。

 それを確認したノルンが、最後の笛を吹いた。

 「次!ウルス!エーコ!」

 「……はい。」「はあい!」

………………そうして、1時間目は生徒たちの魔力量の測定を行った。

 比較的に魔法使い系の学生の方が魔力量は多いが、操作にはまだスムーズとまではいえない。

 魔法剣士の方は、魔力量はそれほどでもないが、操作がスムーズのようだ。

 最大魔力量は8万ほどのようだが、チャンドラさんに聞いたところ、高等部3年の平均は5万で、学年最高で10万ほどのようだ。

 そして次の時間は、得意な魔法の実演だ。